これまでを振り返って#16
これまでを振り返ってみようシリーズ第16回目です。
『ハーバードの人生を変える授業』の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05,#06,#07,#08,#09,#10,#11,#12,#13,#14,#15」
今回は,<16.一貫性をもつ>で紹介した本,ナサニエル・ブランデンの『自信を育てる心理学』を取り上げます。
自己評価って何?
|
<16.一貫性をもつ>のおわりでも,「self-esteem」の語訳について説明をしましたが,ここでは,「自尊心」ではなく,「自己評価」という訳を使用しています。
改めて,自己評価とは何か?
自己評価には2つの要素があります。「自分が有能であるという実感」と「自分は価値があるという実感」です。いわば自信と自尊の総和です。それは,人生の難問に対処する自分の能力と自分が幸せになる権利について,その人が暗黙のうちにどう判断しているかを反映しています。
と,著者は述べています。そして,この2つの要素はすべての人が生まれながらに持っているとも述べています。
自己評価が高いことで得られる6つのこと
著者は,自己評価の育成について,
自分には生きる能力があり,幸せになるだけの価値があるという確信を育てることです。したがってそれは,しっかりした自信と心の温かさ,そして楽観主義を持って人生に直面することです。そうすれば,人生の目的に近づき,達成感を経験することになるでしょう。
と述べています。
自己評価が高まると,6つの報酬が得られるといいます。
- 逆境に立ち向かう力が強くなる
- 創造的になり,たやすく成功を手に入れることができる
- 大きな望みを抱くようになる
- 豊かに育ちあう人間関係が作りやすくなる
- 敬意や心の温かさや善意を持って人に接するようになる
- ただ存在しているという事実にも喜びを感じるようになる
自己評価は,「自分が自分自身をどう思い,感じるかという内的な経験」であるとし,他の人に代わって考えてもらうわけにはいかないと著者は述べています。
自己評価の大切な3つの柱
著者は,自己評価のもっとも大切な柱を3つ挙げています。
-気づく-
自分の感情,望み,考え,能力などについてもっと自分自身を気づく。
-受け入れる-
自分の感情を受け入れ,自分自身との敵対関係から抜け出す。
-表現・主張する-
自分の考えていることを表出する。行動に移す。
意識的に生きる
自分自身の考えや行動を意識して生活していますか?無意識に行動していますか?
- 自分の生活のどの領域を意識的に生きていますか? 反対に意識しないで生きていますか?
- ①で考えた生活の領域で,「完全に意識的になると困る」ことはありますか? 反対に「完全に意識的になりたい」ことはありますか?
- 明日,明後日,……と最初の7日間の生活のためにできることを考える。
(新しいことを始める。別のやり方を考える。)
意識的に生きること,受け入れること
著者は,意識的に生きることについて,
- 事実を尊重すること。外部的な事実ばかりでなく,内面的な事実も尊重すること。
- 自分が今やっている行動にふさわしい意識を持つこと
- 現実に責任を持っていること。
と述べています。
『ハーバードの人生を変える授業』の著者タル・ベン=シャハーは,<16.一貫性をもつ>のなかで,
口に出したことを実行していけば、自然に自己信頼感は高まります。そして自己信頼感が高まれば、口に出したことをもっと実行できるようになるのです。
また,同様のことを著者も述べていて,
意識的に生きれば生きるほど,自分の心を信頼し,自分の価値を尊重することができるようになります。自分の心を信頼し自分の価値を尊重すれば,ますます意識的に生きることが自然に感じられます。
意識的に生きるための究極な試練が,自分自身を受け入れることであると著者は述べています。
自己を受容するには,善悪の考え方から離れて,わかりたい・知りたい・気づきたいという気持ちで自分の体験に近づくことが必要であり,自己受容は変化の前提条件であるとしています。
もし,自分の感情や考えや記憶を受け入れることができないのなら,「受け入れることができないということを受け入れる」というのはいかがでしょうか?
ここでの登場人物
- ナサニエル・ブランデン
- タル・ベン=シャハー