これまでを振り返って#06
これまでを振り返ってみようシリーズ第6回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05」
今回は,<06.思いやりの心を持つ>で紹介した思いやりの瞑想(慈悲のマインドフルネス,メッタなどとも言われています)を別の本で紹介したいと思います。ここでは,「慈悲の瞑想」という言葉で統一したいと思います。
「幸せでありますように」という願い
|
コンパッションと慈悲の違いについて著者は,
コンパッションの定義は「他者の痛みや苦しみへの感受性と,その苦しみを和らげたいという強い願望」となるかもしれません。つまりセルフ・コンパッションとは,単に自分自身に向けた内的なコンパッションです。
慈悲は苦しみの有無にかかわらず,自分や他者へ向ける幅広い友愛の気持ちを指します。
と述べています。
また,ダライ・ラマ14世の言葉を借りれば,
慈悲とは「すべての人間が幸せでありますように,という願い」。そしてコンパッションは「すべての人間が苦しみから解放されますように,という願い」。
とのこと。
慈悲の瞑想の効果
慈悲の瞑想の効果には,
- 不安やうつといったネガティブ感情が減る。
- 幸せや楽しさといったポジティブ感情が増える。
というものがあるそうです。また,慈悲の瞑想を実践すればするほど強力な効果が得られるそうです。(詳しく知りたい方は,①については,Buddhist-Derived Loving-Kindness and Compassion Meditation for the Treatment of Psychopathology: a Systematic Reviewを参照してください。また②については,Open Hearts Build Lives: Positive Emotions, Induced Through Loving-Kindness Meditation, Build Consequential Personal Resourcesを参照してください。)
好意の気持ちを向ける
大切な人に好意の気持ちを伝えることができますか?
自分自身に好意の気持ちを伝えることができますか?
苦手な相手に好意の気持ちを伝えることができますか?
- 座っても横になってもいいので,心地よい姿勢を見つける。
- 慈悲の瞑想を行う。
- 振り返りをする。
- あなたを自然と笑顔にする人や生き物を思い浮かべて瞑想する。
- 自分が大切にする相手と一緒にいるところを想像して瞑想する。
- すべての注意をそのまま自分に向けて瞑想する。
- 深呼吸をして,体験している状態のありのままを味わい,その感覚を受け入れる。
- 振り返り
瞑想中は,以下の4つの言葉を静かに繰り返しましょう。
- ○○が幸せでありますように。
- ○○が穏やかでありますように。
- ○○が健康でありますように。
- ○○の悩み苦しみがなくなりますように。
※ ゆっくりと優しく,何度か繰り返してください。
※ ○○には,「あなた」,「あなたと私(または,私たち)」,「私」の順番で入ります。例えば,「あなたが幸せでありますように。」
※ 振り返りでは,「どんなことに気づいたか? どんなことが浮かんだか? 自分よりも,大切に思っている人の方が慈悲を感じやすかったか?」などを考えてみる。
やりやすさ,難しさ
この思いやりの瞑想は,慈悲を自分自身に向けるより,大切に思っている人に向ける方が簡単に感じるそうです。
著者は,この瞑想を取り組む方法として,
「慈悲が高めやすい人からスタートし,それから,瞑想を向ける人の中に自分を『包み込んで』いきます。そうすることで,促進された慈悲の流れを損なわずに,慈悲を向けるのが難しい私たち自身へ,慈悲を向けていくように進みます。」
と述べています。
また,慈悲の瞑想を苦手に感じる人たちについては,
言葉が合わないと感じたり,言葉を無機質に感じたり,作り物のように感じたり,「私が~でありますように」という言葉に違和感や不快感を覚えたりするからです。
と述べていて,それを解消するためには,自分に合った言葉を見つけることをすすめています。
ここでの登場人物
- クリスティン・ネフ
- クリストファー・ガーマー
- ダライ・ラマ14世