これまでを振り返って#09
これまでを振り返ってみようシリーズ第9回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05,#06,#07,#08」
今回は<09.プロセスを楽しむ>の中でおすすめした本,ブライアン・R・リトルの「自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義」を取り上げます。
いつもとは違う自分を演じる
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著者は,人間の行動を動機づける要因を3つあげています。
- 遺伝的動機
生まれ持った気質から生じる動機。 - 社会的動機
社会的・文化的な規範やマナーから得られる動機。
- 個人的動機
生活の中で追及しているパーソナル・プロジェクトと深く関連する,その人固有の動機。
著者は,上記3つの動機に従って行動することは自然なことだとし,これらは幸福のために自らが選択して行動している成熟した人間の姿だと述べています。
では,私たちが普段とは違う行動をとるのはどんなときでしょうか? 著者は,プロフェッショナリズムと愛情の2つをあげて,以下のことを述べています。
人間は、生まれ持った性格に従って行動するときに力を発揮することもありますが、愛情やプロ意識から普段とは違う行動をとることで、個人や職業人としての責任を果たそうとするのです。
パーソナル・プロジェクトとは、私たちが日常生活で取り組んでいるさまざまなプロジェクトのこと。日常の些細な行動から,人生の目的といった,幅広いもののこと。
いつもとは違う自分を演じ続けられるの?
著者は,いつもとは違う変化できる性格(自由特性)には,パーソナル・プロジェクトを進めるという,人生を有意義にする大きなメリットがあると述べています。ただし著者は,いつもとは違う自分を演じることのデメリットにも触れています。
もとの性格と違う自分を演じることは、自分を偽るというようなことではなく、私たちの可能性を広げてくれる、意義あることなのです。
ただし、注意があります。長期間にわたって本来の自分と違うキャラクターを装うと、心身に負荷がかかることがあるのです。
回復のための場所を見つける
このデメリットへの対策も著者は教えてくれています。
デメリットを減らすために役立つのが、「回復のための場所」を見つけることです。これは、普段と違う行動がもたらすストレスから逃れ、「本来の自分」としてありのまま過ごせる休息所のようなものです。
著者は,午前の講義のあと,落ち着いて午後の講義に行うために,トイレに籠って神経を鎮めているそうです。
ほかにも,<07.困難から学ぶ>や<困難な時期の物語を組み立てることで,心身の健康を図ろう!(これまでを振り返って#07)>で紹介した,筆記開示(エクスプレッシブ・ライティング)でも,自律神経の覚醒レベルが下がって,安定することがわかっているそうです。
本来の自分に戻る
本来の自分に戻れる場所はありますか?
一人の時ですか? 誰かと一緒の時ですか?
- これが本来の自分だと思える場所,または時間を考える。
- そのときの感情や情景を書き出す。
あらためて考えてみる
著者は,私たちがキャラクターの外に出るのは、大切にしているものがあるからと述べています。また,次のようにも述べています。
私は、人はもっと自由な存在だと信じています。キャラクターの外に出て行動し、変化する特性を使い分けることで、人は大切なプロジェクトを進めることができ、さらなる幸福を追求することができるのです。
ここでの登場人物
- ブライアン・R・リトル