これまでを振り返って#05
これまでを振り返ってみようシリーズ第5回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04」
今回は,<05.意義を見いだす>の中でおすすめした本,ポール・ドーランの「幸せな選択、不幸な選択」を取り上げます。
幸福って?
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<05.意義を見いだす>で著者は,「富でも名声でもなく,幸せこそが人生の価値を決める『究極の通貨』だ。」と述べていました。
リフラクションは,毎日の行動を記録して行動の増減を検討すること,ハピネス・ブースター(幸福感増幅行動)を生活の中に取り入れることをすすめていました。
この本は,<幸福とは何か>と<幸せをデザインする>とうい2部構成となっています。今回は,<幸福とは何か>に焦点を当てたいと思います。
幸福とは,快楽とやりがい持続すること
著者は最初に,幸福について
快楽とやりがいが持続することである。
と定義しています。
この定義は,著者が研究を進める中で,快楽とやりがいについて取り上げている学術文献の差や,生活満足度を問う質問の不十分さーーーこの種の質問はやりがいに対する総合的な評価を尋ねているが,やりがいを日々経験しているかどうかは尋ねていないーーーからきている思います。
また,評価と経験については写真と動画のたとえ話を使ってうまく説明をしてくれています。
写真を撮るとき,あなたにもお決まりのポーズがあるだろう。カメラに向かって,その時の自分の感情とはかけ離れたポーズをとることもあるはずだ。これがビデオカメラならあなたの幸せがずっと続いているかどうかをそのまま映し出してくれる。
4つの質問で幸福について尋ねてみる
イギリス国家統計局(ONS)の幸福に関する4つの主質問で,幸福について自分に問いかけてみてください。
- 全般的に,現在あなたは自分の生活にどの程度満足していますか?
- 全般的に,あなたが生活の中で行っている活動に対し,どの程度やりがいを感じていますか?
- 全般的に,あなたは昨日どの程度幸せを感じていましたか?
- 全般的に,あなたは昨日どの程度不安を感じていましたか?
- 回答はすべて0から10で評価する。
- 0は「まったく~していない」を示している。
- 10は「完全に~している(いた)」を示している。
- 生活満足度 =〔 〕点
- やりがい =〔 〕点
- 昨日の幸福度=〔 〕点
- 昨日の不安度=〔 〕点
(詳しく知りたい方はMeasuring Subjective Well-being for Public Policyをご参照ください。)
注意資源をうまく配分する
幸福になるためのカギは,自分を幸福にしてくれるものに多くの注意を払い,そうでないものにはそれほど注意を向けないことだ。
これは,幸福そのものに注意を向けることとは違う。
著者は,幸福について生産のたとえ話を用いて,詳しく解説してくれています。
- 生産
インプット → 製造プロセス → アウトプット - 幸福
幸福の決定要因 → 注意の配分 → 幸福
製造プロセスでは,インプットがアウトプットに変換される点に注目しています。製造プロセスで,非効率な使用(人材や機械の無駄遣いなど)が起こると,インプットが同じでもアウトプットは小さくなります。
同じように注意の配分では,収入や健康状態というインプットが幸福というアウトプットを増加させるためには,あなたの注意をどのように割り振るかにかかっています。
注意を再分配する
私たちが最大限幸せになるためには,できるだけ多くの快楽とやりがいを経験できるように注意を配分する必要があります。目の前のことに注意を向けてしまっていると,幸せをもたらさない選択をしてしまう可能性があります。
幸せをもたらす選択をするために,自分自身に問いかけてみてください。
- 自分自身の信念と行動が矛盾していないか?
- 自分自身に非常に高い期待をかけていないか?
- 自分自身を受け入れているか?
ここでの登場人物
- ポール・ドーラン
- リチャード・レイヤード
- ロバート・メトカーフ