これまでを振り返って#15
これまでを振り返ってみようシリーズ第15回目です。
『ハーバードの人生を変える授業』の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05,#06,#07,#08,#09,#10,#11,#12,#13,#14」
今回は,<15.感情を味わう>で紹介した本,アンジェラ・アッカーマン,ベッカ・パグリッシの『性格類語辞典 ポジティブ編』を取り上げます。
自分はどんな人間?
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<15.感情を味わう>のリフレクションでは,感情を味わうために緊張した場面や悲しい場面を想像してみるということ,物事を何も変えようとせず,あるがままに見るということを行いました。
そのリフレクションで体験した感情は,どのようなモノ(もらったプレゼントやなくしたぬいぐるみなど)やコト(家庭環境,遺伝,過去の経験など)によって出来上がったものだったでしょうか?
著者たちは,人格の性質に関する理論はさまざまあるけれど,
人間とは,「自分の道徳規範に沿った基本的な望みや欲求を満たす特徴が独特に組み合わさってできている」
と述べています。
性格は道徳観と欲求が影響する?
著者たちは,
性格とは、その人の好き嫌い、見解、思考、信念を示す行動や態度によって形作られている、大変複雑なものだ。
と述べ,人物の特徴形成にかかわる要素を2つあげています。
ー道徳観ー
ふるまいの是非を判断する決め手となる。道徳観はその人のもっとも奥深いところから出てくるもので、自分が見るもの、経験すること、考えることに価値を置く要因となる。
また,社会の規範、文化的な価値、手本となる人物などはすべて、是非の判断にかかわるその人の信念体系を形作る一因となる。
ー欲求ー
人のポジティブ/ネガティブは,自分にとって一番大事な欲求を満たそうとする中で現れる。心理学者のアブラハム・マズローによれば、人間は5つの段階からなる欲求に突き動かされている。
生理的欲求 | 生物的・生理的欲求を満たしたい |
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安全と安心の欲求 | 自分と愛するものたちの安全を守りたい |
所属と愛の欲求 | 他人と意味のある関係性を築きたい |
承認と尊重の欲求 | 自尊心を高めたい |
自己実現の欲求 | 自分の持っている能力に気づき、自己実現を成し遂げたい |
著者たちは,
欲求は道徳的指針に影響を及ぼし,あるいはそれを変えてしまうほどの威力を発揮することだってある。
と述べています。
(表はP.14を参考に作成)
人格形成のもとをたどってみる
著者たちは,
人間には、現在置かれている環境から幼少時代、人格形成期にいたるまで、ありとあらゆる要因(7つ)が影響を及ぼしている。
と述べています。
- 遺伝
自分の力が及ばない面。内向的か外向的か、生まれ持った傾向。このほか、高い知能や、楽器やスポーツの才能などについても、遺伝的に授けられたものと考えられる。
成長するにつれてさまざまな属性を身につけることは可能だが、このように生まれながらにして持っているものもある。 - 倫理
是非や道徳的義務感、責任を中心に展開される信念。人には自分が正しいと思うことを守りたいという欲求があるため、自らの倫理を反映した属性を抱くようになる。 - 価値観
人、考え、ものなどの価値に関する観念。道徳観と密接に結びついており、ポジティブ/ネガティブのどちらかがその人柄に組み込まれることになるのかも決定づける。 - しつけと育ての親
自分を育ててくれた人は最初の手本となる。親が重視する価値観や資質といったもの。
手本を見て成長することで,親のような人間になるだろうし,反抗心から真逆の人間になるかもしれない。 - ネガティブな経験
ネガティブな経験をすれば欠点が引き起こされることが多いものの、この経験によってポジティブさが形作られることもある。 - 物理的環境
過去でも現在でも、環境はキャラクターに影響を及ぼす。
たいてい、子どもの頃に培われた属性は大人になっても変わらないが、環境が変化すると、とりわけその変化が極端な場合は、属性にも動きが見られる。 - 仲間
人生のある地点において、仲間というのは自分にもっとも影響をもたらす存在になる。輪になじみ、周囲に受け入れてもらおうとして、仲間たちの属性を自分に取り込む人もいるだろう。
自分を表現してみる
自分の考えや感情を表に出していますか? どんなとき・場所なら自分らしさを表わすことができますか?
- これから1週間,下記を参考にして自分を表現してみる。
①いつも行っている動作を大袈裟に,または控えめにしてみる。
②いつもなら独りでやっていることを,周りの人の手を借りてやってみる。
③空想する。
④いつもとは違う選択をする。
人生の主人公であり,読者である
本書の『性格類語辞典 ポジティブ編』は,小説やテレビドラマ,映画の登場人物を創造するための教科書のような本です。
「なんだ,フィクションの話か」だなんて思わないでください。登場人物の性格や行動,考えは,もしかしたら私たちがなりたいと思う人物そのものかもしれないのですから(もちろん,なりたくない人物かもしれませんが)。
次の休日に,お気に入りの小説やドラマ,映画のなかに入り込んでみませんか?
ここでの登場人物
- アンジェラ・アッカーマン
- ベッカ・パグリッシ
- アブラハム・マズロー