これまでを振り返って#11
これまでを振り返ってみようシリーズ第11回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05,#06,#07,#08,#09,#10」
今回は<11.失敗から学ぶ>でおすすめとして取り上げた本,マシュー・マッケイ,パトリック・ファニングの「自尊心の育て方 あなたの生き方を変えるための,認知療法的戦略」のなかから,<第10章 失敗への対処>を取り上げます。
自尊心と失敗の関係
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著者たちは、自尊心と失敗(完璧であること)について、何の関連もないと述べています。また自尊心について、
失敗とは無関係に,本来の価値ある存在としての自分自身を無条件に受け入れることに基礎がある。(中略)失敗は無価値の証拠だという病的な批評家に同意してしまうことこそが,唯一の真の深刻な失敗である。
と述べています。
失敗を捉え直してみる
著者たちは、失敗を捉え直すことについて,
自分の解釈や視点を変化させるということ。失敗を中立的で,価値がある人生の要素であると捉えていく。この視点を獲得すると,失敗しても,それに柔軟に反応し,そこから何かを学び,先に進んでいくことができるようになります。
と述べています。また,失敗の捉え方について,5つ取り上げています。
-1.失敗から学ぶ-
失敗には,成長と意識変換の機能があります。これは,いかなる学習過程でも絶対的な必要条件です。どのような課題やスキルも,失敗しないで,学ぶ方法はありません。すべての失敗は,課題の達成のために最善の,連続した行動へと徐々に近づけていきます。失敗を恐れるのではなく,学習の過程では,失敗を歓迎する必要があります。失敗は単に目標への段階に過ぎのです。
-2.失敗を警告と捉える-
完全主義な態度は,警告を告発に変えてしまいます。自分が悪いということにではなく,失敗を示している警告に焦点を当てることで,完全主義的な態度と戦うことができます。
-3.失敗は自発性の必要条件-
失敗を恐れていると,自己表現の権利を失ってしまいます。進んで失敗するというのは,他者を失望させたり,無様な瞬間を作り出したり,会話が気まずくなったりしても大丈夫だという意味となります。
-4.失敗はある程度の割合で必要である-
ある程度の割合の失敗は必要であることを認めましょう。より健康的な立場は、誰もがある程度の割合で失敗することが許されているとするものです。今こそ、完全を夢見るのでは無く、ある程度理にかなった割合で失敗することを認めるのに絶好のときです。
-5.失敗は過去のもの-
行動を起こすまさにその瞬間には、理にかなっていると思われることを行っているでしょう。しかし後の解釈が、行動を失敗に変えてしまいます。「間違い」とは、もっと理にかなった何かができたはずだと考えて、常にうしろに振り返って貼るレッテルのことです。
意識の限界を知る
上記でも挙げた通り,行動を起こすその瞬間には、理にかなっていると思っていることをしているのに,あとから失敗だったと思うのには,意識に限界があるからだと著者たちは考えています。
著者たちは,自分の行動がもたらす可能性のある結果について,意識に限界があるのは,次のような5つの重要な要因によるとし,それは、無知、忘却、否認、他の選択肢がない、習慣を挙げています。
- 無知
多くの場合,結果を予測する正当な方法がないのは,これまでに同様の状況を経験したことがないから。 - 忘却
以前はどのような結果になったか思い出せずに,しばしば同じ失敗を繰り返すから。 - 否認
恐怖あるいは欲求という2つの理由のうちの1つから,以前の失敗の結果を否認したり,無視したりから。
ときには,変化や,別の方法で事に当たるのを恐れて,失敗がもたらした否定的な結果を否認したり,過小評価したりする人もいる。同じ選択に再び向き合って,すべての選択肢を恐ろしく感じて,苦痛に満ちた失敗を繰り返してしまう。 - 他の選択肢がない
行動するための他のよりよい方法を単に思いつかないために,多くの失敗が繰り返されてしまうから。
新たな戦略は解決策を生み出すための,スキル,能力,経験に欠けているから。 - 習慣
一生にわたって自分に染み付いたある種の習慣のために,自分の選択について評価したり,意識したりするのが妨げられていることがあるから。
結果について考えられないのは,自分が決断を下そうとしていることを知らないから。
失敗についての意識を高めてみる
失敗は自分だけにしか起こらないと思っていますか?
失敗をしてしまった自分を赦せますか?
- 誰もが失敗することを認識する。
深刻な失敗をした歴史的あるいは公的な人物を書き出す。このとき,自分が感謝しているか尊敬している人であること。
次に、自分が個人的に知っていて、尊敬している人を書き出してみる。その人たちの失敗も書いてみる。 - 自分も失敗することがあると認識する。
今度は自分が失敗した時のリストを,少し時間をかけて作る。このリストが延々と続くように感じるのであれば、大きな失敗を10個にまとめる。 - 自分を赦す(a~cを読み上げる)。
a)決定を下した時点でさまざまな欲求や意識があったとしても、それは私が下した唯一の決断であった。私は,単に全力を尽くしただけなのだ。
b)私はすでに失敗に対する代価を支払った。私の失敗は苦痛に満ちた結果をもたらした。私はこの結果に耐え、苦痛を味わった。
c)失敗は避けられない。学習の過程は一生にわたって続いていく。
失敗をすること
タル・ベン=シャハーは,著書「ハーバードの人生を変える授業」<11.失敗から学ぶ>のなかで,
自分は失敗に対処できるという自信は,「失敗すること」により強化される。
と述べています。では,なぜ進んで挑戦をしないかというと,
実際に失敗したときのつらさよりも,失敗するかもしれないと感じるときの恐怖のほうが,じつは私たちを痛めつけるから。
と述べています。
私にとっては,ぐうの音も出ないほど,痛めつけられる発言なのですが,確かに動かない理由づけにはなっているのかなと感じました。
ここでの登場人物
- マシュー・マッケイ
- パトリック・ファニング
- タル・ベン=シャハー