これまでを振り返って#02
これまでを振り返ってみようシリーズ第2回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01」
今回は,02.習慣化するの中で登場した本「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術」を取り上げます。
新しい常識を提案
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この本では,2人の著者のジム・レーヤーとトニー・シュワルツが,フル・エンゲージメントの状態を作り出すための4つの基本原則と,生活を変えるための3つのステップを,多くの実例を挙げながら紹介しています。
フル・エンゲージメント状態とは,肉体はエネルギーに満ちていて,頭脳は正しい方向に焦点を合わせていて,情動は前向きであり,精神は本当に大切なものが何かを自覚している状態のことをさす。
また,今の生き方を根本的に変えるために,7つ新しい常識を提案しています。
- 時間管理ではなく,エネルギー管理が大切
- ストレスは避けるのではなく,ストレスがあってこそ成長できる
- 人生はマラソンではなく,短距離走の繰り返し
- 休憩は無駄ではなく,活力のもと
- 人は報酬ではなく,目的のために動く
- 大事なのは自制心ではなく,儀式である
- ポジティブ思考ではなく,フル・エンゲージメントを目指す
この中で印象的だったのは,②番ストレスをかけることと④番の回復をはかること。②番と④番を合わせたインターバル(本の中では,生活のパルスや往復運動と表現しています)の必要性について述べていること。
活動と回復の時間を設ける
例えば,古代ギリシャのソフィストのピロストラトスの,「活動と休息を交互に行えば最大の成果が得られる」という考え方に注目し,世界のトップアスリートが採用しているペリオダイゼーション(期間区分)理論を紹介しています。
私たちは,常に休まずに動き,考え続けていることを認めて,「回復の時間」を取ることをすすめていて,
回復の時間は創造力にも,愛情にも不可欠である。音は,音符と音符の間のスペースであることこそ音楽になる。文字は字と字の間の「空間」を含めて初めて言葉となる。私たちの生活も同じことだ。回復という「すきま」の時間があってこそ,愛や友情が育つゆとりが生まれる。深みが出る。さまざまな広がりが出てくる。回復の時間を確保しなければ,人生は走り回るだけのものになってしまい,私たちはその本当の意味を見失ってしまうだろう。
と述べています。
変わるための3つのステップ
フル・エンゲージメントを目指して,効果的にエネルギー管理をしていくために,今の生活を変えて,良い習慣を取り入れること目指しましょう。
- 目標を設定する。
自分が大事に思っている価値基準に矛盾しないようにするには,どのようにエネルギーを使うべきかを考える。 - 真実と向き合う。
自分の中にある受け入れられない面を見つけて,受け入れる。 - 行動を起こす。
自分の現在の姿と,「なりたい自分」との溝を埋める。
ポジティブな儀式を取り入れる。
変わるために3つのステップを紹介していますが,著者たちは変えることは難しいということも認めています。なぜなら,人間は習慣の生き物だから。
何かを変えようとするときに,意識してする努力は長続きしない。意志と自制心は,私たちが思っているよりずっと限られた資源である。毎回考えて決断しないといけない行動は長続きしない。習慣になっていることだからこそ,私たちは続けていけるのである。
と述べています。
この本では,習慣を意識的に「儀式」という言葉に置き換えています。ポジティブな儀式とは,自分が大切だと思う価値基準に裏打ちされ,時間の経過とともに習慣となった行動のこと。
ポジティブな儀式には,3つのメリットがあり,
- 自分の目標に向かっていくための効果的なエネルギー管理ができるように助けてくれる。
- 人間の持つ限られた意志の強さに頼る必要性を減らしてくれること。
- 自分が心の中に持っている価値基準を実際の行動に反映させる強力な手段となる。
を挙げています。
習慣とは何か?
習慣とは,私たちに4つのことを教えてくれるのではないかと思います。それは,継続性と区切り,再調整,変化。
継続性は,先に述べたように,意志力や自制心に頼らず,無意識的にできること。
区切りは,例えば「ここからは仕事に時間」,「ここからは回復の時間」ということが明確に切り分けることができていること。
再調整は,気が散ることを退け,生理機能を落ち着かせ,精神を集中させ,「今」に全力で向き合う姿勢を再び整えてくれること。
変化は,退屈や無関心,情熱や生産力の枯渇などを見直す。また,儀式の始まりと終わりの違いを感じられること。
著者も,
健康的な儀式は,「過去の快適さ」と「未来への挑戦」の両方にまたがるものでなくてはならない。
と述べています。
ここでの登場人物
- ジム・レーヤー
- トニー・シュワルツ