心理学

16.一貫性をもつ

自己信頼感の育て方

  • ハーバードの人生を変える授業
  • タル・ベン=シャハー(著)
  • 成瀬まゆみ(訳)
  • 大和書房(だいわ文庫)
  • 2015年01月

 他人との約束はどのくらい守っていますか?また,自分で決めたこと,自分との約束はどのくらい守っていますか?

 著者は,言行一致という言葉を政治家が任期中に公約を実行することや,友人との待ち合わせの時間を守ることの例を用いて説明しています。

 また,約束を実行するかどうかについて,ゼロか百かの二者択一ではなく,幅を持たせて,自分がどのあたりに位置するかで,他の人からどのくらい尊敬されるかが決まると述べています。ほかにも実行の程度について,

 完璧な人はいません。誰もが約束の時間に遅れたり,約束したことを守れなかったりします。ですから問題は,その人が自分の言ったことをすべて実行しているかどうかではなく,その程度実行しているかということです。

と述べています。

 ここまでは外的なものですが,約束を守ることで自分自身に対して重要なメッセージを送るという内的なかかわりについても深く掘り下げてくれています。

著者は言います,

 言葉はその人自身の表出ですから,自分の発言を尊重することは,自分自身を尊重することになるのです。

と。また,自己信頼感の祖とされる心理学者のナサニエル・ブランデンは,自分の言ったことを実行するのは自己信頼感を支える本質的な柱のひとつだとしてます。

 言ったことを実行すること。自己信頼感を高めること。このふたつは相関し合って,好循環が生まれます。

 言行一致 言っていることとすることが一致していること。日ごろ主張しているとおり自分が行動すること。(三省堂 大辞林 第三版,Weblio辞典より

リフレクション

 約束を必ず守っている人を思いつきますか?生活の中のどの部分で,自分の言ったことを必ず実行して行きたいですか?

約束を果たす
  • 1週間,約束事を書き出す。
  • 自分が口に出したことを実行するように努力する。
  • 1週間の終わりに,書き出したことを振り返る。
  • さらにもう1週間,約束を守るように努力する。

  • 会議に遅刻しない。
  • 同僚の仕事を手伝う。
  • 1週間のうち,3回は運動する。
  • 健康的な食事をする。

※いきなり無理な約束はしない,無理な計画を立てない

おすすめの本

  • 自信を育てる心理学新装版 「自己評価」入門
  • ナサニエル・ブランデン(著)
  • 手塚郁恵(訳)
  • 春秋社
  • 2013年05月

 「ハーバードの人生を変える授業」の中で,何度も登場するナサニエル・ブランデンの本です。その本から,第7章の【責任を持って生きる】をご紹介。

 責任を持つことで自己評価が高まると述べていて,今回のワークにも重複する部分だと思います。文章完成法を多く取り入れています。その例として,

  • ときどき,物事がうまくいかないとき,私は〔    〕によって自分を無力にします。自分を無力にする利点は〔    〕です。
  • ときどき,私は〔    〕と,自分を責めます。
  • もし私が自分が口に出すすべての言葉に責任を持つならば〔    〕でしょう。
  • もし私が自分の幸せに責任を持つならば〔    〕でしょう。
  • いま,とてもはっきりしていることは〔    〕です。

などがあります。

ナサニエル・ブランデンは,自己評価について

 自己評価には2つの要素があります。「自分が有能であるという実感」と「自分は価値があるという実感」です。いわば自信と自尊の総和です。それは,人生の難問に対処する自分の能力と自分が幸せになる権利について,その人が暗黙のうちにどう判断しているかを反映しています。

と述べています。

 Self-Esteemとは,自尊心と訳されることがありますが,ここでは自己評価となっています。これはEstimateという見積もり,評価と語源を同じにしているからです。著者は,自己評価は,自分の問題であり,もっとも重要な側面の1つは自分とも他人とも戦っていない状態であると述べています。

 自分で自分のことを正しく評価していますか?自己評価を育ててみませんか?

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