これまでを振り返って#08
これまでを振り返ってみようシリーズ第8回目です。
「ハーバードの人生を変える授業」の本の内容を補強したり,各章を関連付けたり,脱線したりしたいと思います。
前回はこちら「これまでを振り返って#01,#02,#03,#04,#05,#06,#07」
今回は<08.すべてをシンプルにする>の中でおすすめした本,ドナルド・サル,キャスリーン・アイゼンハートの「SIMPLE RULES『仕事が速い人』はここまでシンプルに考える」を取り上げます。
シンプルなルールをプライベートにも適応する
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<08.すべてをシンプルにする>では,「シンプルなルール(4つ)」の特徴と「基本的な意思決定ルール(3つ)」を列挙しましたが,ここでは,「自分の生活の中で大切にしていることを見つける」,「大切なことを妨げているものを見つける」,そして,「データを取って分類する」という過程を経てシンプルなルールを作成する方法を紹介したと思います。
ステップ1 「自分の幸せ」にこだわる
著者たちは,戦略的な人生変革について2つの課題を挙げて,自己価値を探ってほしいと述べています。
- 何を改善したいか?(最初に思い浮かんだものを3つあげる)
- 幸せを感じたり,満ちたりた気分になったりするのはどんなときか?
- 何に対して不安やストレスや恐怖を感じるか?
- 五年後,今の自分を振り返ったとき,しておけばよかったと後悔することは何か?
もしくは人生の終わりに,あのときしておけばよかったと後悔しそうなことは何か? - 親友なら,恋人なら,妻なら,夫なら,あなたについて1~4の質問にどんな風に答えるだろうか?
ここで大事なことは,「できるだけ具体的に」とのこと。
ステップ2 「無意識のワナ」を見つける
ステップ1の次は,「なぜそれが実現できないのか?」と考え,「ボトルネック(問題点)=無意識のワナ」を見つけだそうと述べています。
また著者たちは,
的確なボトルネックを発見することができれば,長期的に見て自己価値を上げることができるだけでなく,シンプルなルールづくりにも直結する。
とも述べています。下記の5つの項目に当てはまる問題であるほど,シンプルなルールが成果をもたらしくれるそうです。
- 本来望まないのに頻繁に選択してしまうことや,そのように行動してしまうことか?
- その問題を取り組むのに,時間やお金,エネルギーや集中力が足りていないことか?
- その問題は意志の力が必要か?
- その問題は柔軟さが必要か?
- ルールをつくって試験的に運用したり,改編したりすれば,それによって結果に反映される問題だろうか?
ステップ3 「3つのカテゴリー」に落としこむ
そして最後に,「データを取り,3つのカテゴリーに分類する」ことすすめています。
「戦略的な人生改革」を行うにあたって,「何が自分を幸せにするのか?」「何が自分の問題なのか?」についてステップ1で課題を挙げたうえで,行動し記録を取ると良いと述べています。
- うまくいったこと
- うまくいかなかったこと
- 上記の2項目のどちらでもないもの
著者たちは,
「うまくいったこと」と「うまくいかなかったこと」を見比べれば,ルールを作る際にもっとも有益なヒントになるかもしれない。
と述べています。
3つのステップに共通していること
一朝一夕にはいかないということ。
ステップ1の課題を挙げるためには,「できるだけ具体的に」課題を挙げる必要がある。
また,ステップ2の「ボトルネックを見つける」ことも,腰を据えて見極めなくてはわからない。
ステップ3についても,データを取るには時間が必要です。
著者たちは,ルールを作成するとき,特に初めてルールを作成するときについて,
深く掘り下げて分析するよりも,直感に頼る傾向がある。認知的に楽なもの,慣れしたしんだもの,最初に思いついたものから採用しがちだ。
と述べています。
試行錯誤を重ねたその先にあるもの
シンプルだからと言って簡単に出来上がらないのが,今回紹介した「シンプル・ルール」。
シンプル・ルールを作成するためには,時間をかけて自己価値に向き合い,データを取り,自分のまたは他人の経験のなかから適したものを選び取ることが求められます。
そして,その時間をかけて作り上げたシンプル・ルールをアップデートし,ときには作り上げたシンプル・ルールが時間と共にライフスタイルに合わず,すべてを捨てて,またゼロから作り上げる。
単純ではなく,簡潔明瞭なルールをつくることの難しさと大切さを教えてくれる1冊ではないかと思います。
ここでの登場人物
- ドナルド・サル
- キャスリーン・アイゼンハート